2022.10.18 『天声人语』・伫立废寺前
緑の木々に覆われた深い山あいにその寺はあった。水戸市から車で北に1時間。茨城県大子町の本覚寺を訪ねた。お堂の白壁がはがれ落ち、長くひとの手が入っていないことが一目で分かる。瓦屋根はぐにゃりとたわんでいた。
从水户市驱车向北行驶一小时,我参访了位于茨城县大子町的本觉寺。寺庙坐落于层林叠翠的深山间,正殿的白色墙壁斑驳脱落,一望便知是许久无人打理。瓦片屋顶也有些倾斜垂落。
寺ができたのは1980年代だった。「水子の霊がついている」と言って信者を増やし、「霊視商法」と呼ばれる悪質な手口で莫大な金を集めた。訴訟が相次ぐと、和歌山県にあった寺を買収して看板をすげ替える。それが2002年に違法行為で解散を命じられた明覚寺である。
寺庙建于上世纪80年代。寺方用"早夭胎儿的亡灵附体"这一说辞招揽信徒,通过"通灵商法"(兜售通灵商品)敛获巨额财富。接二连三被起诉后,又收购了和歌山县的寺庙换个招牌继续招摇撞骗。这便是因违法在2002年被责令解散的明觉寺。
全国には18万の宗教法人があるが、法令違反での解散命令は2例だけ。オウム真理教とこの明覚寺だ。世界平和統一家庭連合(旧統一教会)はそれに続く3例目となるのだろうか。きのうようやく、岸田首相が宗教法人法に基づく調査を始める考えを示した。
全日本有18万宗教法人,因违法而被责令解散的唯有两例ーー奥姆真理教和明觉寺。世界和平统一家庭联合会(原统一教会)会成为第三例吗?昨天岸田首相终于表示要根据《宗教法人法》对其展开调查。
権力が宗教に介入することは常に慎重に議論されるべきだろう。だが、あまりにも多くの苦しみと悲しみが私たちの目の前にある。教団は訴えに向き合っているように見えない。
权力介入宗教始终须慎重商讨。但是,有太多宗教引发的悲剧还历历在目。而教团并没有直面这些控诉。
先日開かれた元2世信者の女性の記者会見では、彼女を中傷するファクスを送りつけ、会見中止を求めた。何とも異様である。「どうかこの団体を解散させてください」。女性の涙ながらの訴えに、心が揺さぶられた。
前几日,曾为二代信徒的女子召开记者见面会时,原统一教会发来诽谤传真,并要求停止见面会,荒唐至极。"请务必命其解散"女子声泪俱下的控诉,直击我的心灵。
旧統一教会と明覚寺への政府の対応をここまで隔ててきたのは何だったのか。廃墟となった寺の前で考える。キューン。獣か鳥か。不気味な鳴き声が、誰もいない山中に響いた。
伫立于已经废弃的本觉寺之前不禁思考,政府对原统一教会与明觉寺的处理为何有如此天壤之别。"咕—"一声啼叫不知道是鸟是兽,令人毛骨悚然,划破寂静响彻荒无人烟的山间。
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