译|石川啄木「一握の砂」21~40
21
こみ合へる電車の隅に ちぢこまる ゆふべゆふべの我のいとしさ
(解释:この頃(1910年頃)の東京の新光景ともいうべき通勤電車のラッシュ。その夕方の電車の隅に来る日も来る日も縮こまって乗っている自分の、愛すべき健気さよ。)
在拥挤的电车角落里
蜷缩着
那就是我每夜每夜的可爱模样!
22
浅草の夜のにぎはひに まぎれ入り まぎれ出で来しさびしき心
(<解釈> 浅草の夜の活動写真館のぎっしり詰まった人込みに、この世の憂さ・人間関係の煩わしさを忘れに行って、活動写真が終わってしまうとまた憂さ・煩わしさがもどって、人込みを出て来たあのさびしい心よ。)
浅草的热闹夜市
有人混进去,有人混出来
多少孤独寂寞的心。
23
愛犬の耳斬りてみぬ あはれこれも 物に倦みたる心にかあらむ
(<解釈> 愛犬の耳を刃物で傷つけてしまった。ああ、こんなひどい馬鹿なことをことをするのも、何もする気が無くなった心のせいだろうか。)
想把爱犬的耳朵切下来
悲哀啊!这大概是
因为这颗心对万物感到厌倦了吧
24
鏡とり 能ふかぎりのさまざまの顔をしてみぬ 泣き飽きし時
(现代日语:鏡をとって能うるかぎりの様々な顔をしてみた 泣き飽きた時に)
(<解釈> 鏡を手にとって、自分の顔で百面相をして写して見た。もう泣くのに飽きた時に。)
当我哭够了的时候
拿过镜子来
尝试着尽可能做出各种鬼脸。
25
なみだなみだ 不思議なるかな それをもて洗えば心戯(おど)けたくなれり
(现代日语:なみだなみだ、不思議だなあ。それをもって洗うと心がおどけたくなったよ)
(<解釈> なみだなみだ、これは不思議だぞ。なみだで心を洗ってやると、心が悲しみを忘れ、戯けたくなるぞ。
「なみだ」は液体ですから、たしかにものを洗うことができるかも知れません。)
眼泪啊眼泪
真是不可思议呀
用它洗过之后,心就变得想去玩了呢。
26
呆れたる母の言葉に 気がつけば 茶碗を箸もて敲(たた)きてありき
(现代日语:呆れた母の言葉に 気がつくと 茶碗を箸でたたいていたなあ)
(<解釈> あきれてたしなめる母の言葉に気がついてみると、何に浮かれたのやら、調子をとって箸で茶碗を敲いているのだった。)
想起
惊呆了的母亲说过的话,
原是正在用筷子敲着饭碗呢!
27
草に臥(ね)て おもふことなし わが額(ぬか)に糞して鳥は空に遊べり
(现代日语:草のうえに寝て 思うことがない 私の額に糞をして鳥は空に遊んでいた)
横躺在杂草中
无所思想
一只鸟在我额头拉了泡屎,继续在空中嬉戏。
横卧草丛,无所思虑,
空中飞鸟,坠粪天庭。
28
わが髭の 下向く癖がいきどほろし このごろ憎き男に似たれば
(<解釈> この髭の下を向く癖の腹立たしいったらない。このごろ憎らしいと思っている男の髭の癖とそっくりなのだもの。)
我的胡须
这样向下生长的特征,真是令人生气
使得近来看起来像个憎恶的男人。
29
森の奥より銃声聞ゆ あはれあはれ 自ら死ぬる音のよろしさ
(<解釈> 森の奥から一発の銃声。誰かが自殺したにちがいない。ああ、あの短く乾いた音の、なんとわが願望の自殺にぴったりなこと。)
从森林深处传来一阵枪声
可怜呀可怜
多盼望亲耳听见自己死亡的声音。
30
大木の幹に耳あて 小半日 堅き皮をばむしりてありき
(<解釈> ぼくはある日森の中に行き、大木の幹に耳をあて、ほとんど半日の間堅い木の皮を指でいじりながら、ぼんやりと過ごした。森の中でピストル自殺した人もあるのだが。)
耳朵贴着大树的树干
几乎半天的工夫
都在剥着坚硬的树皮。
31
「さばかりの事に死ぬるや」 「さばかりの事に生くるや」 止せ止せ問答
(<解釈> 「そんなつまらない事で死ぬのか。いや生きていよう。」「そんなつまらない事のために生きているのか。いや死のう。」 ある日のぼくの心が繰り広げる、はてしなき止せ止せ問答。)
(现代日语:「そのくらいの事に死ぬのか」「それくらいの事に生きるのか」 止せ止せ問答)
“为这点小事就去死吗?”
“为这点小事就活着吗?”
打住,打住,不要再问了。
32
まれにある この平らなる心には 時計の鳴るもおもしろく聴く
(现代日语:希にある この平らな心には 時計が鳴るのもおもしろく聴く)
很少有机会
在变得平和的心境里
听见时钟报时也觉得很有趣。
33
ふと深き怖れを覚え ぢっとして やがて静かに臍(ほそ)をまさぐる
(现代日语:ふと深い怖れを覚えて じっとして やがて静かにへそを まさぐる)
忽然感到一种深深的恐惧
一动不动地
不久之后静静地抚弄着肚脐。
34
高山のいただきに登り なにがなしに帽子をふりて 下り来しかな
登上了高山之顶
无缘无故地挥了挥帽子
又走下山来了。
35
何処やらに沢山の人があらそひて 鬮(くじ)引くごとし 我も引きたし
(现代日语:どこやらに沢山の人が争って くじを引くようだ 私も引きたい)
不知在什么地方好像有许多人
在争抢着抽签
我也想去。
36
怒る時 かならずひとつ鉢を割り 九百九十九割りて死なまし
发怒的时候
必定会砸坏一个钵
等到砸坏了九百九十九个,就死去吧!
37
いつも逢ふ電車の中の小男の 稜ある眼 このごろ気になる
总是在电车里遇见一个小个子
凌厉的眼神
使得最近有些不安起来。
38
鏡屋の前に来て ふと驚きぬ 見すぼらしげに歩むものかも
(现代日语:鏡屋の前に来てふと驚いたよ みすぼらしげに歩くものだなあ)
来到卖镜子的店前
不觉大吃一惊
走路的样子显得多么寒酸啊!
39
何となく汽車に乗りたく思ひしのみ 汽車を下りしに ゆくところなし
(现代日语:なんとなく汽車に乗りたくなっただけ 汽車を下りたが行くところはない)
不知怎的只是想坐坐火车
下了火车
却没有地方可去。
40
空家に入り 煙草のみたることありき あはれただ一人居たきばかりに
(现代日语:空き家に入って煙草を飲んだことがあった。ああ ただ一人で居たかっただけで)
走进空荡荡的家
因为要抽根烟
哎!不过是想一个人呆着。
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