2018年5月9日(水) 天声人语
2018年5月9日(水)付 黒塗りから一転…
首相秘書官だった柳瀬唯夫氏の国会招致が決まった。「私の記憶のある限りでは、今治市の方とお会いしたことはない」。昨年来、国会審議の焦点だった面会をついに認めるのだろうか▼この問題が浮上したのは昨年6月、加計学園の誘致をめぐる愛媛剣今治市の行政文書の存在が明らかになってからだ。住民が一昨年の暮れ、開示を求めて入手した。残念ながら大部分は黒く塗られている。だが、かろうじて読める部分をたどると、2015年4月2日付の市課長らの出張旅程に「15:00~16:30」「千代田区永田町 首相官邸」とあった▼ところが、学園をめぐる疑惑が国会で取り上げられると、事態は一変する。昨年暮れ、同じ住民らが出張報告書に絞って再度開示を求めると、今度は全面非開示となってしまった▼いったん市民に明らかにされた情報が、翌年には隠される。その経緯に驚く。しかも愛媛県、文科省、農水省の調査で面会が否定できなくなった現在、面会相手を明かさない今治のかたくなさは際立つ▼市長は先月、その理由を地元記者団にこう説明した。「国や県は一緒に取り組んできた仲間だから迷惑はかけられない」。では柳瀬氏が前言を翻したら今治はどう出るのか。よもや「廃棄した」とは言うまいが▼行政が不都合な文書を出し渋るのは今治に限った話ではない。それでもこの国の公吏の情報公開の姿勢には寒々しさを覚える。山形県金山町が自治体として初めて情報公開条例を施行して、36年になる。
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