2024.5.29 『天声人语』・视而不见之恶
程度の差こそあれ、私たちはみな、他人の痛みに気づかぬふりをして生きているのかもしれない。公開中の「関心領域」を観て、急に怖くなった。アウシュビッツ収容所の所長だったドルフ・ヘスの一家を描いたホロコースト映画だが、ユダヤ人虐殺のシーンは一切ない。
生活中,我们或许都在或多或少地对他人的痛苦视而不见。我看完正在上映的电影《利益区域》后,突然感到了害怕。这是一部描写前奥斯维辛集中营所长鲁道夫・霍斯家庭的电影,但片中完全没有出现屠杀犹太人的场景。
第2次世界大戦中、ナチス軍は収容所一帯を「関心領域」と呼んだ。プールや花壇を備えたヘスの邸宅は、域内どころか収容所とは壁を隔てた隣にあった。向こう側の煙突から黒煙が上がるのが見え、悲鳴や銃声が聞こえる。
二战期间,纳粹德军将集中营周围的区域称为"利益区域"。配有游泳池和花坛的霍斯宅邸位于该区域内,与集中营仅一墙之隔。在这里能看到集中营的烟囱里腾腾升起的黑烟,也能听到悲鸣和枪声。
それでも一家は何事も起きていないかのように暮らす。囚人のものだった毛皮のコートを着て、ポケットに入っていた口紅までつける妻。金歯を集めて喜ぶ子どもたち。その無自覚さに「この人たちは怪物だ」と思いそうになる。
尽管如此,这家人依然无动于衷地坦然生活着。妻子身穿曾属于囚犯的毛皮大衣,甚至会用大衣口袋里的口红。孩子们则开心地收集金牙。这样的麻木不仁甚至会让人觉得"这一家人都是怪物吗?"
だが、ユダヤ系英国人のジョナサン・グレイザー監督は「普通の人間として描きたかった」と語っている。彼らは異常だからできた。私たちは普通なので、あれほどの惨事はもう二度と起きない。そう考えるのは間違いだと。
然而,犹太裔英国导演乔纳森・格雷泽却表示:"我就是想把他们当成普通人来刻画"。他们是那样的残忍无情是因为他们不正常。而我们是正常人所以不会再发生这样的惨剧——这样的想法是错误的。
ヘスは敗戦後に捕まり、絞首刑となった。手記に所長時代の心境を書き残している。「ガス室や、火葬に立ち会っていると、しきりに妻や子供たちのことが思い出されてくるのだが、それが、眼前の光景にどうしても結びつかないのだ」
霍斯在德军战败后被捕,并被判处绞刑。他在日记里记录了自己作为所长时的心境:"当我在毒气室和火葬场旁观看时,我总是会想起我的妻子和孩子们,但这些怎么也无法和眼前的景象联系起来"。
壁の向こうに関心を持たない。叫びを聞き流す。何も考えない。どれも日常的にやっていそうだ。だが、壁はいつでも崩壊する。警告された気がする。
对墙对面的事漠不关心,听到惨叫声也无动于衷。放弃思考。这都是日常生活中我们司空见惯的事情。然而,历史似乎在警告我们,墙随时可能会崩塌。
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