精神医学総論
精神医学:人間精神の側面を中心に←→身体医学
特色:①生物学、自然科学、心理学、文化学、社会学的な方法が必要→客観と主観の組み合わせ
②明らかな減が不明なことが多い
③正常、異常の判断→平均規準(生物学、自然科学)・価値規準→(心理学、文化学、社会学)
④人間機能を回復(社会的回復)
⑤関連領域が極めて広い
精神障害の成因:身体因(内因(素因)と外因(身体的外因))心因
脆弱性・ストレスモデル:遺伝+環境因→発症
方法:生物学的方法+心理学的方法(記述精神医学、力動精神医学)
分類:症状によって分類する操作的分類(診断法)ICD-11、DSM-Vなどに基づく
※診断名だけで治療はできない→個人の分類ではない、個性、治療の出発点でしかない、生物、心理、社会的コンテクストを考察し、アセスメントする、臨床応用
→客観的評価に加え、主観的評価も必要、目指す治癒の形にも様々であり、関連の知識を知るべき(複数の異なる科学)
精神疾患の診断:外因性(脳器質的)→内因性(統合失調症など)→心因性(外相体験)
統合失調症:躁うつ病と並ぶ2大内因性精神病の一つ→青年期に発症、特徴的な思考障害、自我障害、感情障害、人格障害などを主徴、しばしば進行性または推進性に経過、やがて人格に特有欠陥状態を残すか、人格の荒廃に至る、原因不明←脆弱性、ストレスモデル、遺伝
病前性格:分裂病質(クレッチマー)敏感性と鈍感性を同時に併せ持つ
症状:知覚の障害(幻聴)、思考の障害(まとまった思考ができなくなる)、自我の障害(自害境界の脆弱化、崩壊)、感情の障害・自閉、意欲の障害、行動の障害、人格の障害(慢性期)→陽性と陰性
対応:妄想・幻覚への対応:本人にとっては「リアル」、事実確認
興奮・暴力への対応:入院治療
病型:妄想(年を取る、陽性)、破瓜(若年、陰性)、緊張(20歳前後、異常行動、人格の欠陥)、単純、残遺
児童期発症の統合失調症:幻視が多い(成人幻聴)、妄想は空想、魔術的、行動の異常が多く出現する←前駆症状:脅迫症状、多動
弁別:広汎性発達障害、大うつ病性障害、双極性障害、解離性障害、物質の乱用
経過:前駆→急性→疲弊→回復→安定→再発
前兆→急性(数週間)→休息期(数週間~数か月)→回復期(③/④→②繰り返し→人格水準の低下)
治療:薬物(抗精神病薬、気分安定薬、抗うつ薬、抗不安薬、睡眠薬、抗パーキンソン病薬)、精神療法、作業療法・生活指導療法・生活技能訓練、社会支援、電気痙攣療法
気分障害:うつ病性障害(大うつ病性障害、気分変調性障害)、双極性障害(Ⅰ型、Ⅱ型、気分循環性障害、急速交代型rapid cycler)
区分:内因性・神経症性・反応性/外因(器質性精神障害)・内因(統合失調症)・心因(神経症、心因反応)
※臨床においてはどれか一つの要因であることは少ない
病前性格:循環気質(社交的、面倒見がよい、同調的)、執着気質、メランコリー親和性(他者のための存在、秩序を重んじる)
→笠原・木村分類:Ⅰ型メランコリー親和型に基づく性格反応型(うつ病になりやすい性格を持ったうつ病)、Ⅱ型循環性格を基準とした躁,鬱両相を繰り返す循環型(双極2型の抑うつ相)、Ⅲ型未熟依存型、自信欠如的な性格に持続的な葛藤状態が加わって生じる葛藤反応型、Ⅳ型分裂気質が循環型を示す偽循環型(統合失調症の症状、病態としての抑うつ)、Ⅴ型悲哀反応(喪失に伴う、死別、老年期のうつ)、Ⅵ型(そのほかのうつ状態)
→内因性:Ⅰ型(単極性 責任感が強く真面目)とⅡ型(双極性 社交的でエネルギッシュ)
→神経症性:Ⅲ型(気分変調症 自分に自信がない 自己不全)
→反応性:Ⅴ型とⅥ型(ストレスや外的ショックが原因でうつ状態になったもの)
→脳器質性:Ⅵ型(脳や体の損傷が原因でうつ状態が現れたもの)
鬱で障害を受け脳の部位:大脳辺縁系、視床下部、前頭前野→感情・睡眠・食欲・自律神経・ホルモンの中枢
気分障害の症状:喪失体験や秩序の乱れなどのライフイベント(や嬉しいこともあり、器質的疾患の除外)をきっかけに、日内変動の形で、失感情や悲哀、睡眠障害、身体症状(動悸など)などの「うつ症状」が現れ、さらに思考の働きも制止し、妄想(罪業、貧困、「心気→子タール症候群」→自責的)までになるのも
躁状態として、爽快気分、多弁、逸脱行動、観念奔走、誇大妄想などの症状があげられる(病相期)→人格水準の低下は見られない
思春期のうつ病:低年齢層では身体症状を訴えることが多く、主観的な抑うつ症状は訴えることが少ない(言語化能力の制限の原因)、精神病症状が伴うことが多い(幻聴多い、妄想少ない)、自殺行動多い、一貫性がない
症状:外見で見られる症状(表情、態度など)が多い(言語的に表現することが難しいから)
併存障害:行為障害、反抗性挑戦性障害、不安障害(パニック障害)、ADHD、食行動異常や情緒不安定などが前景化しやすい
※詐病との弁別
治療:薬物療法と精神療法
※抗うつ薬:三環系抗うつ薬や四環系抗うつ薬、SNRIなどの種類があり、薬理作用については、脳内のモノアミン(セロトニン、ドーパミンノルアドレナリン)の活性化の、
気分安定薬:リチウムや抗てんかん薬物などあり