一緒に歩こう(一起散步吧)
犬が逝って、はや２カ月以上になる。賢く地域の人気者だった。毎日の散歩は朝が夫、夕方は私の当番。だが犬が弱り始めた頃から、朝も私が行くようになっていた。
犬の供養も終えたころ、さて歩くのはどうしようと思った。この散歩だけが唯一の運動だった。ここで歩くことをやめると、老いの坂を一気に転げ落ちる気もする。かといって、一人で歩く勇気もまだない。
思いあぐねているところへ、夫の鶴の一声。「歩いた方がいいよ」
翌日から歩くことを再開したものの、なえた心で踏み出す一歩は鉛のよう。しかし、これを乗り越えなければ先に行けない。悲しんでばかりいられない。そう自分に言いきかせる。
と、ふと案が浮かんだ。そうだ、今まで通り、犬と一緒に歩こう。見えない影に引かれるように歩いた。しかし、独りは独り。つらい。
「僕がいなくても、歩き続けてね」。そんな声がした。悲しみを引きずりながら一人で歩くそのうちに、年月が悲しみを懐かしさに変えていくだろう。見えない身体をなでていると、そこに確かに犬がいる感触がある。今日もまた一人で、いや、一緒に歩く。
距离我爱犬的去世，已经2个多月了。曾经是在周围一代很受欢迎的宠物呢。每天早上都由我丈夫带它出去散步，傍晚就由我带它出去。但是当它开始变得虚弱起来之后，早上也变成由我带它散步了。
在结束了对爱犬的供养之后，曾想过接下来的散步该如何是好。这样的散步曾是我唯一的运动方式了。要是就此停止的话，恐怕就要在衰老的坡道上直接滚落了。虽说如此，我还是没有一个人散步的勇气。
正在踌躇之时，最后其决定作用的是丈夫的一句话。“还是继续散步比较好吧。”
虽然第二天开始就再次开始散步了，但是枯萎的心灵要再迈出第一步还是如灌了铅一般困难。不过，不越过这一步是无法继续前行的。不能一昧地沉浸在悲伤之中。我这样对自己说道。
就这样，忽然产生了一个主意。是啊，到目前为止，我都是和狗一起散步的。就像牵着看不见的影子一样继续散步吧。然而，一个人毕竟还是一个人。还是挺艰难的。
“就算没有我，也要继续散步呢。”听到了这样的声音。一边拖着悲伤一边一个人走下去的话，岁月就会将悲伤变为怀念吧。抚摸着看不见的身体的话，那里确实有着狗的触感。今天也是一个人，不对，一起散步着。
（北九州市 井上春海 主妇 73岁）
