蜂蜜与四叶草01
実は
「人が恋に落ちる瞬間」
というものは
この場にもうひとつ訪れていたのだが
今ひとつ
解りづらいバターンだったため
誰ひとりとして気づくものは
いなかったとさ
竹本 六畳風呂なし、大学まで徒歩十分。築二十五年、家賃三万八千円。壁が薄くて、音は筒抜(つつぬ)け、入居者(にゅうきょしゃ)は全員学生。朝日が眩しい、東向き。去年美大に合格 (ごうかく)して、東京に出てきて、学校の周りが畑だらけなのにびっくりして、自分で作った飯がまずくてびっくりして、銭湯(せんとう)の入浴料の高さにびっくりして、課題の多さにびっくりして。でも、今はすべて日常。
竹本 真山先輩!
真山 オぅー何だ竹本?
竹本 今腹いっぱいすか?コロッケあるんすけど。
真山 俺の分もあるの?
竹本 もちろんです。
生徒A え、コロッケ!?俺もいい?
竹本 たくさんあるから皆さんでどうぞ
生徒A やった!
竹本 あ、先輩マヨネーズ持ってます?切らしちゃってて。
真山 マヨネーズ?竹本お前コロッケにまでマヨネーズつけんの?
竹本 いけませんか?
真山 まぁ、いいけど、あるから持っていく。うわっ、すげい量。どうしたんだこのコロッケの山は?
竹本 あぁ、いや、森田先輩が「皆で喰え」って。
真山 森田さん?あ、帰ってきてる。久しぶりだな、この人、十二日くらい帰ってこながったんじゃね?
竹本 十四日!約半月ですよ。
真山 今回こそ、どっかで野垂れじんでんじゃないかと。つうか謎過ぎるよこの人、何も言わずにフラーっと出てっては、しばらくするとぼろぼろになって帰ってくる。しかもよくわかんねい??????で、尻ポケットには謎の札束、何がだんだん大金になってるし。
竹本 真山先輩、森田先輩っていったい何のバイト?
真山 わからん。
竹本 不思議な人ですよね。
真山 そんな生易しいもんじゃ。
生徒A 早くコロッケ食わして!バイトの給料前で70円しかないんだよ!
生徒B 俺醤油持ってきた~
生徒C 俺塩持ってきた~
生徒A あぁ、お前らそれは俺んだろう!
生徒D ちーっす~俺もいいか?中濃ソース持ってきた。
生徒A しっかし、すけい量だな、十キロあるじゃねえ?
生徒B この味、焼き物肉屋じゃねんの?
生徒C そりゃ駅ビルの地下だな、しかも九時五分前の超投売り。
生徒A しかし森田さんなぜにコロッケ?あるだけの札束を手にしておきながら、なぜにコロッケ?もっと、もっとこう、肉とか肉とか肉とかさ!あの人貧乏の俺たちのこと嘲笑(あざわら)ってんだ!
真山 泣くな長谷川、森田さんの思うつぼだ
竹本 でも一応気は使ってるみたいですよ、カレーとプレーン半々だし。
生徒B いや使ってない、多分ぜんぜん…
真山 しっかし、なんでこの人自分の部屋で寝ないかね?
竹本 いえ、それがさっき…
森田 これやる、皆で喰え。その代わり、明日九時に起こしてくれ。
竹本 森田先輩!明日の朝の十時の講義に間に合うようにって。
生徒B それひょっとしてあれか…森田さんの一年の時、一時間がけ授与がたりなくて、単位落として、そもまま卒業しそこなって、二回目の留年に追い込まれたっていう…
真山 それた!
竹本 ええ!?
生徒C 森田さん必死だな…
生徒D その単位、確か去年も寝坊で落として、そんで留年したんだっけ?
竹本 ということは、明日遅刻したら大学七年に?!ひょっとして責任重大。
生徒C 一年の授業は朝が早いからな。
生徒D しかも、森田先輩は目覚まし三つがあっても起きないし。
生徒B いや、四つあっても起きない!
生徒D 留年かな…
竹本 皆さん目覚ありったけ貸してください!
真山 大丈夫だって竹本、大学ってのは、八年までOKらしい。
竹本 そういう問題じゃないです!寝坊したら、先輩絶対俺の責任にします。そうなったら俺何にされるか…ああ!いやだ!
森田 煩い!
竹本 ええ?何すか?
皆 乾杯!
竹本 なんでそうなるんすか!?
竹本 九時半?!!先輩!森田先輩起きて!もう九時半ですよ起きてください!森田先輩!あぁ、起きた!
森田 よーありがとう竹本君!目が覚めたから、あと五分寝かせてくれたまえ!
竹本 寝ぼけてるのにハキハキしないでください!
真山 わーってるなー
竹本 真山先輩…助けてください!森田先輩ビクともしないっす!
真山 森田さんはバイトのあとは48時間くらい起きないからなー。お前あきらめてもう学校に行け、森田さんの二の舞になるぞ。
竹本 そんなことしたら、留年運の以前に俺の大学生活暗黒時代にかえられますよ!森田先輩起きて!
真山 お前この一年、ずっと森田さんからまれてたもんな。
森田 似合うぞ竹本、千円です~
竹本 死ぬ死ぬ!俺殺したり殺される!
真山 よし!やれるだけ頑張ってみよ!まずは、森田さんの大好物のコーヒー牛乳、こいつの血糖値(けっとうち)を上げ、脳の働けを活性化(かっせいか)。次、テレビの前で起こすための努力の証拠(しょうこ)をカメラに収(おさ)める!これで森田さんの呪いの30パーセントをかわせるはず。
竹本 ここまでやっても30パーセントなんですね…
真山 いいから、あと15分呼び続けろ!それでも起きなっかたら、お前は学校へ行くんだ。俺のキッキングボード貸してやる!
竹本 あの森田さんの手製の?
森田 ハピバースデー真山!これ、欲しかってだろう?
真山 先輩、これなんっすか?
森田 いやだな~見ればわかるだろう、キッキングボードさ~
真山 つうか、まさかこれで先月貸した一万、チャラにする気じゃないでしょうね?
森田 ハハハーうん~
竹本 いや、別にあれは…
真山 じゃ、俺学校行くから。
竹本 そんな!ひどいすよ真山先輩!
真山 こら起こせ、あど十四分。
竹本 森田先輩起きてください!森田先輩起きて!森田先輩起きて!森田先輩起きてください!森田先輩起きて!あぁもう十分たってる!先輩、留年したら恨まないね~
森田 留年?!ノーモア留年!
竹本 先輩!なんばしょっとね…
女子1 なに?あんたお腹すかせてるの?仕方ないな、今朝の食べかけた牛肉ソーセージあげるわよ。
真山 森田さん?!竹本は?
女子2 ちょっとあんた!そのけりんちょ、まさかうちのかの台車(だいしゃ)壊してつくったんじゃないでしょうね。やっばり!おかげでうちら胸像(きょうぞう)手持ちで運んでんのよ!これ一つなんキログラムあると思ってんのよ?十五キロよ十五キロ!直すか弁償(べんしょう)するかしなさいよね!
森田 僕がやったのではありません~
女子 じゃ、誰がやったての?
森田 真山君がやりました~
女子 ちょっと真山、あんたがやったの?
森田 ぎりぎりセーフ~うん?教室間違いた!
真山 くそ!久々にやってくれたぜ、森田さん!
花本 ははは、久しぶりだな真山のその叫び~
真山 あーやっと竹本にターゲットが移って…去年一年心安らかっただね。
竹本 じゃ、この一年おれはいけにえだったんですか?!ひどいっすよ真山先輩!
花本 真山長いこと森田にからまれてたからなー
竹本 何で黙ってたんっすか!
花本 ところではぐ、キッキングボードって何だ?
真山 先生、そこにいる小さいひとは?ひょっとして、先生の…娘さん?
花本 ほほ、真山君、そんなに留年したいのかなー?この子は、俺のいとこの娘、今年からここの学生だ!
竹本 あの、俺…
真山 俺、真山巧建築科四年、よろ…しくん…ね…
花本 花本はぐみ十八歳(じゅうはちさい)、趣味は服を作ることと粘土いじり。ちなみに、はぐの父親は長野県警(けんけい)捜査課課長、娘溺愛(できあい)歴十八年。めったなことすると、闇に葬(ほうむ)られるぞ!
真山 ほほ~
竹本 えっと、あのーこれ、あのー一緒に食べませんか?いらないかな?
花本 お腹すいてるだろうはぐ?そうか、森田が謎のバイトねーあぁはぐ、相変わらず豪快(ごうかい)だね~可愛いだろう~
はぐ どぞ。
真山 あ、どうも。
花本 いやあ、桜がもうじき咲くね。暖(あたた)かくなったし。なごむね、ほんと。
真山 確かに、静かで、のほほんとして、でも、こうちょっとソワソワして。そうだよな、春なんだよなー。小さい手…なぁー竹本…あぁ、そうか。これがー人が恋に落ちる瞬間を始めて見てしまった。まいったなー。俺が照れてどうするよ。春ですね、だなー。
女子 何~?あんたまだお腹がすかせているの?仕方ないな~お弁当の残りの蒲鉾(かまぼこ)あげるわよ。春ね…
教授 さすが山田君、見事なまでの指裁きじゃ。??????土との会話、じゃが、土の声はとても小さくか細い、心を無にし、己と真直ぐに消えたものだけがその声を聞くことが出来る…
女子1 ね、聞いた、建築科の真山?
女子2 真山?
女子1 この前の合コンに由美がね
女子3 まだなの?
女子1 ええ、まだって?
女子3 有名だよ、建築科の真山のうわさ。
女子2 そんな…どうしよ…由美誘ったのは私なのに…
教授 どうしたんだね山田君?山田君?!
真山 あー森田三さん。よ!森田、コロッケいただいて…
森田 竹本君、起こしてくれてありがとう。これてやっと卒業できる。
竹本 はー何よりです…
真山 森田さん!さっきはよくもらった
森田 あはは、真山君、しばらく見ない間にまだ背が伸びたか?成長期?
真山 あるわけないでしょう!たぐう、あなたって人は!森田さん?もしもし?先輩?
森田 これを持って!これを持って!コロボックル!
真山 コロ?
花本 ボ?
竹本 クル?先輩、いい加減にしないと、泣かせちゃいますよ!
花本 コロボックルか、はぐは何のかっこうしても可愛いな~
山田 な、何なの?
竹本 僕がまだ小さかったころ、どこへ行くにも一緒たっだあの青い自転車(じてんしゃ)に乗りながら、ある時ふっと思ったんだーー一度も後ろを振り向かずに、僕はどこまで走れるかなって。
「人が恋に落ちる瞬間」
というものは
この場にもうひとつ訪れていたのだが
今ひとつ
解りづらいバターンだったため
誰ひとりとして気づくものは
いなかったとさ
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snapshot:动画里这段独白太赞了! |
竹本 六畳風呂なし、大学まで徒歩十分。築二十五年、家賃三万八千円。壁が薄くて、音は筒抜(つつぬ)け、入居者(にゅうきょしゃ)は全員学生。朝日が眩しい、東向き。去年美大に合格 (ごうかく)して、東京に出てきて、学校の周りが畑だらけなのにびっくりして、自分で作った飯がまずくてびっくりして、銭湯(せんとう)の入浴料の高さにびっくりして、課題の多さにびっくりして。でも、今はすべて日常。
竹本 真山先輩!
真山 オぅー何だ竹本?
竹本 今腹いっぱいすか?コロッケあるんすけど。
真山 俺の分もあるの?
竹本 もちろんです。
生徒A え、コロッケ!?俺もいい?
竹本 たくさんあるから皆さんでどうぞ
生徒A やった!
竹本 あ、先輩マヨネーズ持ってます?切らしちゃってて。
真山 マヨネーズ?竹本お前コロッケにまでマヨネーズつけんの?
竹本 いけませんか?
真山 まぁ、いいけど、あるから持っていく。うわっ、すげい量。どうしたんだこのコロッケの山は?
竹本 あぁ、いや、森田先輩が「皆で喰え」って。
真山 森田さん?あ、帰ってきてる。久しぶりだな、この人、十二日くらい帰ってこながったんじゃね?
竹本 十四日!約半月ですよ。
真山 今回こそ、どっかで野垂れじんでんじゃないかと。つうか謎過ぎるよこの人、何も言わずにフラーっと出てっては、しばらくするとぼろぼろになって帰ってくる。しかもよくわかんねい??????で、尻ポケットには謎の札束、何がだんだん大金になってるし。
竹本 真山先輩、森田先輩っていったい何のバイト?
真山 わからん。
竹本 不思議な人ですよね。
真山 そんな生易しいもんじゃ。
生徒A 早くコロッケ食わして!バイトの給料前で70円しかないんだよ!
生徒B 俺醤油持ってきた~
生徒C 俺塩持ってきた~
生徒A あぁ、お前らそれは俺んだろう!
生徒D ちーっす~俺もいいか?中濃ソース持ってきた。
生徒A しっかし、すけい量だな、十キロあるじゃねえ?
生徒B この味、焼き物肉屋じゃねんの?
生徒C そりゃ駅ビルの地下だな、しかも九時五分前の超投売り。
生徒A しかし森田さんなぜにコロッケ?あるだけの札束を手にしておきながら、なぜにコロッケ?もっと、もっとこう、肉とか肉とか肉とかさ!あの人貧乏の俺たちのこと嘲笑(あざわら)ってんだ!
真山 泣くな長谷川、森田さんの思うつぼだ
竹本 でも一応気は使ってるみたいですよ、カレーとプレーン半々だし。
生徒B いや使ってない、多分ぜんぜん…
真山 しっかし、なんでこの人自分の部屋で寝ないかね?
竹本 いえ、それがさっき…
森田 これやる、皆で喰え。その代わり、明日九時に起こしてくれ。
竹本 森田先輩!明日の朝の十時の講義に間に合うようにって。
生徒B それひょっとしてあれか…森田さんの一年の時、一時間がけ授与がたりなくて、単位落として、そもまま卒業しそこなって、二回目の留年に追い込まれたっていう…
真山 それた!
竹本 ええ!?
生徒C 森田さん必死だな…
生徒D その単位、確か去年も寝坊で落として、そんで留年したんだっけ?
竹本 ということは、明日遅刻したら大学七年に?!ひょっとして責任重大。
生徒C 一年の授業は朝が早いからな。
生徒D しかも、森田先輩は目覚まし三つがあっても起きないし。
生徒B いや、四つあっても起きない!
生徒D 留年かな…
竹本 皆さん目覚ありったけ貸してください!
真山 大丈夫だって竹本、大学ってのは、八年までOKらしい。
竹本 そういう問題じゃないです!寝坊したら、先輩絶対俺の責任にします。そうなったら俺何にされるか…ああ!いやだ!
森田 煩い!
竹本 ええ?何すか?
皆 乾杯!
竹本 なんでそうなるんすか!?
竹本 九時半?!!先輩!森田先輩起きて!もう九時半ですよ起きてください!森田先輩!あぁ、起きた!
森田 よーありがとう竹本君!目が覚めたから、あと五分寝かせてくれたまえ!
竹本 寝ぼけてるのにハキハキしないでください!
真山 わーってるなー
竹本 真山先輩…助けてください!森田先輩ビクともしないっす!
真山 森田さんはバイトのあとは48時間くらい起きないからなー。お前あきらめてもう学校に行け、森田さんの二の舞になるぞ。
竹本 そんなことしたら、留年運の以前に俺の大学生活暗黒時代にかえられますよ!森田先輩起きて!
真山 お前この一年、ずっと森田さんからまれてたもんな。
森田 似合うぞ竹本、千円です~
竹本 死ぬ死ぬ!俺殺したり殺される!
真山 よし!やれるだけ頑張ってみよ!まずは、森田さんの大好物のコーヒー牛乳、こいつの血糖値(けっとうち)を上げ、脳の働けを活性化(かっせいか)。次、テレビの前で起こすための努力の証拠(しょうこ)をカメラに収(おさ)める!これで森田さんの呪いの30パーセントをかわせるはず。
竹本 ここまでやっても30パーセントなんですね…
真山 いいから、あと15分呼び続けろ!それでも起きなっかたら、お前は学校へ行くんだ。俺のキッキングボード貸してやる!
竹本 あの森田さんの手製の?
森田 ハピバースデー真山!これ、欲しかってだろう?
真山 先輩、これなんっすか?
森田 いやだな~見ればわかるだろう、キッキングボードさ~
真山 つうか、まさかこれで先月貸した一万、チャラにする気じゃないでしょうね?
森田 ハハハーうん~
竹本 いや、別にあれは…
真山 じゃ、俺学校行くから。
竹本 そんな!ひどいすよ真山先輩!
真山 こら起こせ、あど十四分。
竹本 森田先輩起きてください!森田先輩起きて!森田先輩起きて!森田先輩起きてください!森田先輩起きて!あぁもう十分たってる!先輩、留年したら恨まないね~
森田 留年?!ノーモア留年!
竹本 先輩!なんばしょっとね…
女子1 なに?あんたお腹すかせてるの?仕方ないな、今朝の食べかけた牛肉ソーセージあげるわよ。
真山 森田さん?!竹本は?
女子2 ちょっとあんた!そのけりんちょ、まさかうちのかの台車(だいしゃ)壊してつくったんじゃないでしょうね。やっばり!おかげでうちら胸像(きょうぞう)手持ちで運んでんのよ!これ一つなんキログラムあると思ってんのよ?十五キロよ十五キロ!直すか弁償(べんしょう)するかしなさいよね!
森田 僕がやったのではありません~
女子 じゃ、誰がやったての?
森田 真山君がやりました~
女子 ちょっと真山、あんたがやったの?
森田 ぎりぎりセーフ~うん?教室間違いた!
真山 くそ!久々にやってくれたぜ、森田さん!
花本 ははは、久しぶりだな真山のその叫び~
真山 あーやっと竹本にターゲットが移って…去年一年心安らかっただね。
竹本 じゃ、この一年おれはいけにえだったんですか?!ひどいっすよ真山先輩!
花本 真山長いこと森田にからまれてたからなー
竹本 何で黙ってたんっすか!
花本 ところではぐ、キッキングボードって何だ?
真山 先生、そこにいる小さいひとは?ひょっとして、先生の…娘さん?
花本 ほほ、真山君、そんなに留年したいのかなー?この子は、俺のいとこの娘、今年からここの学生だ!
竹本 あの、俺…
真山 俺、真山巧建築科四年、よろ…しくん…ね…
花本 花本はぐみ十八歳(じゅうはちさい)、趣味は服を作ることと粘土いじり。ちなみに、はぐの父親は長野県警(けんけい)捜査課課長、娘溺愛(できあい)歴十八年。めったなことすると、闇に葬(ほうむ)られるぞ!
真山 ほほ~
竹本 えっと、あのーこれ、あのー一緒に食べませんか?いらないかな?
花本 お腹すいてるだろうはぐ?そうか、森田が謎のバイトねーあぁはぐ、相変わらず豪快(ごうかい)だね~可愛いだろう~
はぐ どぞ。
真山 あ、どうも。
花本 いやあ、桜がもうじき咲くね。暖(あたた)かくなったし。なごむね、ほんと。
真山 確かに、静かで、のほほんとして、でも、こうちょっとソワソワして。そうだよな、春なんだよなー。小さい手…なぁー竹本…あぁ、そうか。これがー人が恋に落ちる瞬間を始めて見てしまった。まいったなー。俺が照れてどうするよ。春ですね、だなー。
女子 何~?あんたまだお腹がすかせているの?仕方ないな~お弁当の残りの蒲鉾(かまぼこ)あげるわよ。春ね…
教授 さすが山田君、見事なまでの指裁きじゃ。??????土との会話、じゃが、土の声はとても小さくか細い、心を無にし、己と真直ぐに消えたものだけがその声を聞くことが出来る…
女子1 ね、聞いた、建築科の真山?
女子2 真山?
女子1 この前の合コンに由美がね
女子3 まだなの?
女子1 ええ、まだって?
女子3 有名だよ、建築科の真山のうわさ。
女子2 そんな…どうしよ…由美誘ったのは私なのに…
教授 どうしたんだね山田君?山田君?!
真山 あー森田三さん。よ!森田、コロッケいただいて…
森田 竹本君、起こしてくれてありがとう。これてやっと卒業できる。
竹本 はー何よりです…
真山 森田さん!さっきはよくもらった
森田 あはは、真山君、しばらく見ない間にまだ背が伸びたか?成長期?
真山 あるわけないでしょう!たぐう、あなたって人は!森田さん?もしもし?先輩?
森田 これを持って!これを持って!コロボックル!
真山 コロ?
花本 ボ?
竹本 クル?先輩、いい加減にしないと、泣かせちゃいますよ!
花本 コロボックルか、はぐは何のかっこうしても可愛いな~
山田 な、何なの?
竹本 僕がまだ小さかったころ、どこへ行くにも一緒たっだあの青い自転車(じてんしゃ)に乗りながら、ある時ふっと思ったんだーー一度も後ろを振り向かずに、僕はどこまで走れるかなって。