Kagrra,Sacra写真集附 一志小说 一枚の花弁 日中对照
原文自录,渣翻译,无校对,无断禁转
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一枚の花弁
昔ある処に、早くに両親を亡くした若者が、人里離れた山の麓に一人で暮らしておりました。
里からも遠く、あまり人付き合いも得手でない若者は、慎ましく自給自足の生活を営んでおりましたが、それでも心根の優しい若者は日がな畑を耕し、必要な物があれば里に下り、物々交換をして賄うという毎日に満足しておりました。
若者の日課といえば、里に下りる途中にある大きな桜の木の根元に設えられた古びたお堂にましますお地蔵様に、毎日心ばかりのお供え物をする事でした。
親も子も友達さえ居ない若者は、決して返事のしないこのお地蔵様に、人に語る事のない自らの心の内を語り、日々の寂しさを紛らわせていたのです、
そんなある日の事、食料の乏しくなった若者が里に物々交換に出掛けようと、自分の畑で採れた野菜を背負い、いつもの坂道を下ってゆくと、なんとお地蔵様が堂から転げ落ち、倒れているではありませんか。お堂にはお供え物を食い散らかした跡があり、通りすがりの旅の者がお地蔵様をどかし、雨露を凌ぐべく、このお堂の中で一夜を過ごした様が伺えました。
「まったく、、、。なんて罰当たりな事をするだ、、、。」
吃驚した若者は直ぐさま荷物を置き、土に塗れたお地蔵様を起こすと元あった場所に置き、汚れてしまったお顔の泥を落として差し上げました。
「あれ?よだれかけまでねえでねえか。」
辺りを見回すと、どろどろになったよだれかけが桜の枝に引っ掛かっています。手を伸ばし取ってはみたものの、とても再びお地蔵様に掛けてあげられる代物ではありません。困った若者は、
「弱ったなあ、、、。仕方ねえ、これで勘弁してくだせえ。」
若者は自らの被っていた手拭を外し、お地蔵様の首元に巻いて差し上げました。
「綺麗なもんではねえけんど、あれよりはましだべ。」
そう言うと再び荷物を背負い、里へと下りて行ったのです。
その晩の事、くたくたに疲れて横になっていた若者の家に何者かが訪ねて来ました。
「トントン、トントントン、」
「誰だべ、こんな夜中に、、、。」
普段誰も訪れない上に今は真夜中です。土間の竃に立て掛けてあった鍬を手にすると、若者はおそるおそる玄関の錠を外しました。
戸を開けた若者は驚きのあまり、手に持った鍬を落としてしまいました。
なんとそこのは、見目麗しく品のいい身なりの娘がたった一人、若者を見つめているではありませんか。
「夜分申し訳ありません、、、。実は、幼き頃生き別れになった母を探す旅に出てはみたものの道に迷ってしまい、その上、日も暮れてしまいました。野宿を覚悟していたところ、ふとこの家の灯りが目に入った故つい訪ねてしまいました。ご迷惑とお思いでしょうが、なんとか一晩泊めていただけないでしょうか?」
最初は吃驚した若者も娘の話を聞くにつれ哀れに思い、快く娘を泊めてあげることにしました。
「何もねえ家だけんど、まあゆっくりしていってくだせえ。」
若者はいつも自分が寝ている布団を娘に差し出し、自分は土間の隅で小さく蹲って夜を明かしたのでした。
明くる朝若者は、何年かぶりに暖かい味噌汁の匂いで目覚めました。
「すみません、勝手にお台所に立たせていただきました。お口に合えばよろしいのですが、、、。」
娘は、拵えたばかりの味噌汁を若者に差し出しました。
「いやいやとんでもねえ、こっちこそ、なんも材料無くて困ったべ?」
若者は味噌汁を一啜りすると、娘に問いかけました。
「母親を探してるって言ってたけんど、なんぞ手掛かりはあるだか?」
その問いに娘は、顔を曇らせて答えました。
「それが、実は風の便りに何処かで生きていると耳にしたのですが、その何処かまではさっぱりわからず、こうやって方々を訪ねて廻っているだけなのです、、、。」
「そうか、そりゃ困ったなあ、、、。」
若者は腕を組みしばし考え込むと、娘にある提案をしました。
「こういうのはどうだべ?おらあ何日かに一遍里に下りるだども、その時に一緒について来て里のもんに聞いて廻るってのは?女子の一人旅はなんぼなんでも危険だで、おめえさんさえよければ何日でもここに居てくれていいでよ。」
それを聞いた娘は、俯ける顔をぱあっと明るくし若者に何度もお礼を言おうと、自分も味噌汁をよそってきて啜ったのでした。
それから二人は、どちらからともなく魅かれ合い、自然と夫婦の契りを交わしました。娘は相変わらず母親を探しまわっていましたが、母親はもとより手掛かりさえも見つからず、夫婦揃って思案に暮れていました。丁度娘が来て一年が過ぎようと言う頃、若者はちょっとした事に気づきました。どういう訳かもう春も過ぎたというのに、どこから舞って来るのか家の中にちらほら桜の花びらが落ちているのです。
「おかしいなあ?なしてだべ?」
特に困る事もないので気にも留めませんでしたが、花弁を見つける度に首を傾げるのでした。
それからまた三年の月日が過ぎました。娘も最近では母のことを諦めたと見え、あまり熱心に探している様子もなく、一緒に里に下りる事も少なくなりましたが、二人は相変わらず貧しいながらも幸せな生活を送り、日々の感謝の念を忘れずに、毎日欠かさず二人であのお地蔵様に手を合わせに行っていました。
そんなある日の事、いつものように二人仲良くお地蔵様の元へ行くと、人だかりが出来ていました。
若者は、桜の木を見上げてなにやらぶつぶつ独り言を言っている男に尋ねました。
「こんなに人が集まってなにかあるだか?」
すると男は、
「いや、今度この桜の木を切る事になったんだけんど、まあ大仕事だべ。」
若者は心の中で呟きました。
「こんなに立派な桜の木を、、、残念な事だ、、、。」
娘も同じ気持ちだったらしく、二人肩を落としなんとなく寂しい気持ちで家に帰ったのです。
その夜の事、床に入ろうとした若者にしずしずと娘が語りだしました。
「貴方、聞いて下さい。」
「何だべ、あらたまって。」
「実は貴方にお別れを言わなければなりません。」
あまりの事に若者は身を起こし、娘に向き合いました。
「なんだ?突然、、、なにかあっただか?」
すると娘は、涙に濡れた顔を覆いながら、
「私は、、、ずっと貴方を騙してまいりました。信じられぬやもしれませんが、私はあの桜の木の精なのです。あの地蔵堂に通う貴方をずっと見守って参りましたが、いつしか優しき貴方に心魅かれ、元より叶わぬ願いと知りながら自分の気持ちを禁じ得ず、貴方に近づいたのです。最初から、、、最初かたこうなる事は判っていたのです。」
そう言った娘の体の周りを、見る見るうちに淡い光が包み込んでゆきます。
「ま、待ってくれ、お前が桜の精なのは分かった。だども、なして離れなければなんねえだ。嫌だ。桜の精でもなんでも、お前はお前だ。一緒に居てくれっ。」
若者は叫びましたが、もう既に娘の姿は無く、そこには一枚の桜の花弁が落ちているだけでした。
その花弁を手の平に掴み泣きじゃくる若者に、娘のか細い声だけが聴こえました。
「出来る事なら、、、私も永遠に貴方と居たかった。しかし、、、これは運命なのです。貴方と過ごした時間は、何物にも変えられぬ尊い時間でした。でも、これからも私は、貴方を見守り続けます。どうか、私の事を忘れないで下さい。あの桜の木が切られてしまう前に、枝を一本折って、この家に置いておいて下さい。それを私と思い、大事にしてあげて下さい。いつもでも、、、貴方のそばに、、、。」
そこで娘の声は完全に途切れ、後に若者の泣き声が谺すばかりでした。
若者は、言われた通りに桜の木の枝を一本折、土間の片隅に生ける事にしました。
その後、娘の姿を見る事も声を聴くこともありませんだしたが、若者が生きている間中、季節が変わっても何年経っても、桜の枝は枯れる事無く、美しい花を咲かせ続けたそうです。
一片花瓣
很久很久以前,在某个地方,住着一个年轻人。年轻人很早就父母双亡,一个人住在远离人烟的山脚下。
住得离村落很远,又不怎么擅长与人交往,年轻人规规矩矩地过着自给自足的生活。心地善良的年轻人每天从早到晚在田里耕作,如果有需要的东西,就去村里与人以物易物,满足地过着每天的生活。
年轻人每天必做的一件事,就是在去村里的途中,拜一拜沿途那棵高大的樱花树下那个有些老旧的佛堂里的地藏菩萨。虽然没有什么贡品,可是年轻人拜得很诚心。
无亲无故的年轻人每天都对着不会给出回音的地藏菩萨,倾诉自己内心那些无人倾吐的事情和寂寞。
有一天,年轻人家里的食材快要用光了,就准备去村里与人交换。他背起自己地里种的蔬菜,走下熟悉的坡道的时候,突然发现地藏菩萨居然从佛堂里滚落出来倒在了地上。而佛堂里的贡品也被人吃过,弄得七零八落的。可能是过路的旅人为了躲避风雨,把地藏菩萨给挪开,自己在佛堂里过了一夜。
“这可真是……。怎么会做出这样该遭报应的事啊……。”
吃惊的年轻人马上放下自己的东西,把沾上尘土的地藏菩萨扶回回来的位子,又把菩萨脸上的泥土给擦干净。
“诶?怎么连围嘴都没有了?”(译者注:地藏菩萨是为了纪念失去的婴儿而开始供养的,呈婴儿貌,故地藏菩萨像上都会围有婴儿用的围嘴。(考察不完全,大致如此))
看了圈周围,年轻人看到了挂在樱花树枝上黏糊糊的围嘴。虽然伸手把围嘴去了回来,但年轻人非常为难,怎么都不能把这样的东西再次挂到地藏菩萨身上。
“真叫人难办啊……。没有办法,只好用这个了,真是抱歉。”
年轻人把自己身上的手绢给摘了下来,围到了地藏菩萨的脖子上。
“虽然不大干净,不过也总比那个强。”
这么说着,年轻人再次背上自己的东西,往村子里去了。
就在那个晚上,正当疲惫不堪的年轻人躺在床上的时候,有人来到了他家里。
“咚咚,咚咚咚,”
“是谁啊,这么大半夜的……。”
平时谁都不会来年轻人家,更不用说这半夜三更的了。拿起灶台边放着的铁锹,年轻人提心吊胆地开了玄关的锁。
开门之后,年轻人吃惊地把手里的铁锹都掉在了地上。
原来眼前,站着一个外表端庄美丽,打扮得体的姑娘,正望着年轻人。
“那么晚了实在是非常抱歉……。其实,我是为了寻找很小的时候就分开的母亲而出门圆形的。可是现在迷了路,天又已经黑了。本来已经准备好了住在野外,不过突然看到这家的灯亮着,因此前来拜访。想必非常给您添麻烦,不过能不能让我借住一夜?”
一开始觉得很吃惊的年轻人听了姑娘的话之后,觉得她很可怜,就爽快地答应了留她住下。
“这个家虽然什么都没有,不过还是请住得舒服些。”
年轻人把自己盖的被子给了姑娘,自己则蹲坐在灶间(注:原文为土間,指没有地板的房间。用途不定。前文中提到过土間里的灶台,因此推断为灶间)的角落里过了一夜。
第二天一早,年轻人似是嗅到了时隔许久的热腾腾的味增汤的香味,醒了过来。
“真是不好意思,随意地用了您的灶台。希望能和您口味……。”
姑娘把刚做好的味增汤递给了年轻人。
“啊呀,我才是不好意思。什么材料都没有,很为难吧?”
年轻人喝了一口味增汤,问姑娘道。
“你说你是出来找母亲的,有什么线索吗?”
听了这问题,姑娘的脸色沉了下来,
“其实,我也只是听说母亲活着而已,具体在哪里就完全没有方向,只能像现在这样到处去寻访……。”
“这样啊。这可够难办的……。”
年轻人抱起手臂考虑了一会儿,对姑娘提议道:
“这样如何?我过几天就会去村子一次,到时候你随我一起去村里打听一下怎么样?女孩子一个人出远门不管怎么说都太危险了,只要你乐意,在这里呆多久都没有问题。”
听闻此言,姑娘垂下的脸庞一下子由阴转晴,连连向年轻人道谢,自己也盛了一碗味增汤喝了起来。
此后,两人之间渐渐互生爱意,自然地结成了夫妇。姑娘还是到处在寻找母亲,可是母亲的线索还是一点都没有,夫妇两人都想不出主意来。正好姑娘来了一年多的时候,年轻人注意到了一些事情。不知为何,明明已经过了春天,但是总有不知哪里来的樱花花瓣飘落到家中。
“好奇怪啊。为什么会这样呢?”
不过这也并不是什么令人为难的事,年轻人只是每次看到花瓣都会觉得奇怪。
自那之后又过了三年。姑娘最近好像放弃寻找母亲了,也不怎么积极地去寻找了,都不怎么和年轻人一起去村子里了。两人依旧过着贫穷而幸福的日子,不忘感谢之心,每一天都两人一起合掌拜地藏菩萨。
某一天,两人像平常一样一起去地藏菩萨那里的时候,看到那里聚集了很多人。
年轻人走上前去,询问了那个仰头看着樱花树,嘴里嘟嘟囔囔一个人嘀咕着什么的男人。
“为什么会有那么多人聚在这里啊?”
男人答道:
“啊,这次我们准备要把这棵樱花树砍倒。这可是个大工程啊。”
年轻人在心中默念:
“这么好的一棵樱花树要去砍倒它……真是可惜啊……。”
姑娘也一样难过,两人都很失望,抱着十分寂寞的心情回到家里。
这天晚上,年轻人正要走上地板时,姑娘突然静静地对他说道:
“请好好听我说。”
“怎么了,一下子那么严肃。”
“其实,我不得不和您道别了。”
实在太过突然,年轻人一下子坐起身子,转向了姑娘。
“什么?为什么这么突然……发生了什么事情?”
姑娘捂着沾满泪水的脸说道:
“我……我一直欺骗了您。可能很难相信,不过,我其实是那棵樱花树的树精。我一直注视着那个每天去佛堂的您,不知何时就被温柔的您吸引,虽然知道是根本不可能实现的愿望,还是控制不住自己的心情,来到了您的身边。最开始……最开始我就明白会变成这样。”
一边说着,姑娘的身体周围就被淡淡的光芒所包围,渐渐消逝而去。
“等等!我现在知道你是樱花树的树精了。可是,为什么一定要离开我啊。不要啊。不管是树精还是什么的,你就是你。留下来吧。”
年轻人不由喊了出来,可是姑娘的身影已经消失,在那里只留下一片樱花花瓣。
“如果可能的话……我想和您永远在一起。但是……这就是命运。和您在一起的时光,是无法取代的我最珍贵的时光。但是从今以后我也会一直注视着您。请千万不要忘记我。在那棵樱花树被砍倒之前,请折下一根枝干,放在家里。请把那个当作是我,好好对待。我会一直……一直在您身边……。”
至此,姑娘的声音完全消失,空留年轻人的哭声回响在空中。
年轻人像姑娘说的那样折下了一根樱花树的枝干,插在了灶间角落的土里。
从此以后,虽然再也没有见到姑娘的身影听到姑娘的声音,但是在年轻人活着的时候,无论是季节几经辗转,岁月几经变更,樱花的枝干从来没有枯萎过,一直盛开着美丽的樱花。
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一枚の花弁
昔ある処に、早くに両親を亡くした若者が、人里離れた山の麓に一人で暮らしておりました。
里からも遠く、あまり人付き合いも得手でない若者は、慎ましく自給自足の生活を営んでおりましたが、それでも心根の優しい若者は日がな畑を耕し、必要な物があれば里に下り、物々交換をして賄うという毎日に満足しておりました。
若者の日課といえば、里に下りる途中にある大きな桜の木の根元に設えられた古びたお堂にましますお地蔵様に、毎日心ばかりのお供え物をする事でした。
親も子も友達さえ居ない若者は、決して返事のしないこのお地蔵様に、人に語る事のない自らの心の内を語り、日々の寂しさを紛らわせていたのです、
そんなある日の事、食料の乏しくなった若者が里に物々交換に出掛けようと、自分の畑で採れた野菜を背負い、いつもの坂道を下ってゆくと、なんとお地蔵様が堂から転げ落ち、倒れているではありませんか。お堂にはお供え物を食い散らかした跡があり、通りすがりの旅の者がお地蔵様をどかし、雨露を凌ぐべく、このお堂の中で一夜を過ごした様が伺えました。
「まったく、、、。なんて罰当たりな事をするだ、、、。」
吃驚した若者は直ぐさま荷物を置き、土に塗れたお地蔵様を起こすと元あった場所に置き、汚れてしまったお顔の泥を落として差し上げました。
「あれ?よだれかけまでねえでねえか。」
辺りを見回すと、どろどろになったよだれかけが桜の枝に引っ掛かっています。手を伸ばし取ってはみたものの、とても再びお地蔵様に掛けてあげられる代物ではありません。困った若者は、
「弱ったなあ、、、。仕方ねえ、これで勘弁してくだせえ。」
若者は自らの被っていた手拭を外し、お地蔵様の首元に巻いて差し上げました。
「綺麗なもんではねえけんど、あれよりはましだべ。」
そう言うと再び荷物を背負い、里へと下りて行ったのです。
その晩の事、くたくたに疲れて横になっていた若者の家に何者かが訪ねて来ました。
「トントン、トントントン、」
「誰だべ、こんな夜中に、、、。」
普段誰も訪れない上に今は真夜中です。土間の竃に立て掛けてあった鍬を手にすると、若者はおそるおそる玄関の錠を外しました。
戸を開けた若者は驚きのあまり、手に持った鍬を落としてしまいました。
なんとそこのは、見目麗しく品のいい身なりの娘がたった一人、若者を見つめているではありませんか。
「夜分申し訳ありません、、、。実は、幼き頃生き別れになった母を探す旅に出てはみたものの道に迷ってしまい、その上、日も暮れてしまいました。野宿を覚悟していたところ、ふとこの家の灯りが目に入った故つい訪ねてしまいました。ご迷惑とお思いでしょうが、なんとか一晩泊めていただけないでしょうか?」
最初は吃驚した若者も娘の話を聞くにつれ哀れに思い、快く娘を泊めてあげることにしました。
「何もねえ家だけんど、まあゆっくりしていってくだせえ。」
若者はいつも自分が寝ている布団を娘に差し出し、自分は土間の隅で小さく蹲って夜を明かしたのでした。
明くる朝若者は、何年かぶりに暖かい味噌汁の匂いで目覚めました。
「すみません、勝手にお台所に立たせていただきました。お口に合えばよろしいのですが、、、。」
娘は、拵えたばかりの味噌汁を若者に差し出しました。
「いやいやとんでもねえ、こっちこそ、なんも材料無くて困ったべ?」
若者は味噌汁を一啜りすると、娘に問いかけました。
「母親を探してるって言ってたけんど、なんぞ手掛かりはあるだか?」
その問いに娘は、顔を曇らせて答えました。
「それが、実は風の便りに何処かで生きていると耳にしたのですが、その何処かまではさっぱりわからず、こうやって方々を訪ねて廻っているだけなのです、、、。」
「そうか、そりゃ困ったなあ、、、。」
若者は腕を組みしばし考え込むと、娘にある提案をしました。
「こういうのはどうだべ?おらあ何日かに一遍里に下りるだども、その時に一緒について来て里のもんに聞いて廻るってのは?女子の一人旅はなんぼなんでも危険だで、おめえさんさえよければ何日でもここに居てくれていいでよ。」
それを聞いた娘は、俯ける顔をぱあっと明るくし若者に何度もお礼を言おうと、自分も味噌汁をよそってきて啜ったのでした。
それから二人は、どちらからともなく魅かれ合い、自然と夫婦の契りを交わしました。娘は相変わらず母親を探しまわっていましたが、母親はもとより手掛かりさえも見つからず、夫婦揃って思案に暮れていました。丁度娘が来て一年が過ぎようと言う頃、若者はちょっとした事に気づきました。どういう訳かもう春も過ぎたというのに、どこから舞って来るのか家の中にちらほら桜の花びらが落ちているのです。
「おかしいなあ?なしてだべ?」
特に困る事もないので気にも留めませんでしたが、花弁を見つける度に首を傾げるのでした。
それからまた三年の月日が過ぎました。娘も最近では母のことを諦めたと見え、あまり熱心に探している様子もなく、一緒に里に下りる事も少なくなりましたが、二人は相変わらず貧しいながらも幸せな生活を送り、日々の感謝の念を忘れずに、毎日欠かさず二人であのお地蔵様に手を合わせに行っていました。
そんなある日の事、いつものように二人仲良くお地蔵様の元へ行くと、人だかりが出来ていました。
若者は、桜の木を見上げてなにやらぶつぶつ独り言を言っている男に尋ねました。
「こんなに人が集まってなにかあるだか?」
すると男は、
「いや、今度この桜の木を切る事になったんだけんど、まあ大仕事だべ。」
若者は心の中で呟きました。
「こんなに立派な桜の木を、、、残念な事だ、、、。」
娘も同じ気持ちだったらしく、二人肩を落としなんとなく寂しい気持ちで家に帰ったのです。
その夜の事、床に入ろうとした若者にしずしずと娘が語りだしました。
「貴方、聞いて下さい。」
「何だべ、あらたまって。」
「実は貴方にお別れを言わなければなりません。」
あまりの事に若者は身を起こし、娘に向き合いました。
「なんだ?突然、、、なにかあっただか?」
すると娘は、涙に濡れた顔を覆いながら、
「私は、、、ずっと貴方を騙してまいりました。信じられぬやもしれませんが、私はあの桜の木の精なのです。あの地蔵堂に通う貴方をずっと見守って参りましたが、いつしか優しき貴方に心魅かれ、元より叶わぬ願いと知りながら自分の気持ちを禁じ得ず、貴方に近づいたのです。最初から、、、最初かたこうなる事は判っていたのです。」
そう言った娘の体の周りを、見る見るうちに淡い光が包み込んでゆきます。
「ま、待ってくれ、お前が桜の精なのは分かった。だども、なして離れなければなんねえだ。嫌だ。桜の精でもなんでも、お前はお前だ。一緒に居てくれっ。」
若者は叫びましたが、もう既に娘の姿は無く、そこには一枚の桜の花弁が落ちているだけでした。
その花弁を手の平に掴み泣きじゃくる若者に、娘のか細い声だけが聴こえました。
「出来る事なら、、、私も永遠に貴方と居たかった。しかし、、、これは運命なのです。貴方と過ごした時間は、何物にも変えられぬ尊い時間でした。でも、これからも私は、貴方を見守り続けます。どうか、私の事を忘れないで下さい。あの桜の木が切られてしまう前に、枝を一本折って、この家に置いておいて下さい。それを私と思い、大事にしてあげて下さい。いつもでも、、、貴方のそばに、、、。」
そこで娘の声は完全に途切れ、後に若者の泣き声が谺すばかりでした。
若者は、言われた通りに桜の木の枝を一本折、土間の片隅に生ける事にしました。
その後、娘の姿を見る事も声を聴くこともありませんだしたが、若者が生きている間中、季節が変わっても何年経っても、桜の枝は枯れる事無く、美しい花を咲かせ続けたそうです。
一片花瓣
很久很久以前,在某个地方,住着一个年轻人。年轻人很早就父母双亡,一个人住在远离人烟的山脚下。
住得离村落很远,又不怎么擅长与人交往,年轻人规规矩矩地过着自给自足的生活。心地善良的年轻人每天从早到晚在田里耕作,如果有需要的东西,就去村里与人以物易物,满足地过着每天的生活。
年轻人每天必做的一件事,就是在去村里的途中,拜一拜沿途那棵高大的樱花树下那个有些老旧的佛堂里的地藏菩萨。虽然没有什么贡品,可是年轻人拜得很诚心。
无亲无故的年轻人每天都对着不会给出回音的地藏菩萨,倾诉自己内心那些无人倾吐的事情和寂寞。
有一天,年轻人家里的食材快要用光了,就准备去村里与人交换。他背起自己地里种的蔬菜,走下熟悉的坡道的时候,突然发现地藏菩萨居然从佛堂里滚落出来倒在了地上。而佛堂里的贡品也被人吃过,弄得七零八落的。可能是过路的旅人为了躲避风雨,把地藏菩萨给挪开,自己在佛堂里过了一夜。
“这可真是……。怎么会做出这样该遭报应的事啊……。”
吃惊的年轻人马上放下自己的东西,把沾上尘土的地藏菩萨扶回回来的位子,又把菩萨脸上的泥土给擦干净。
“诶?怎么连围嘴都没有了?”(译者注:地藏菩萨是为了纪念失去的婴儿而开始供养的,呈婴儿貌,故地藏菩萨像上都会围有婴儿用的围嘴。(考察不完全,大致如此))
看了圈周围,年轻人看到了挂在樱花树枝上黏糊糊的围嘴。虽然伸手把围嘴去了回来,但年轻人非常为难,怎么都不能把这样的东西再次挂到地藏菩萨身上。
“真叫人难办啊……。没有办法,只好用这个了,真是抱歉。”
年轻人把自己身上的手绢给摘了下来,围到了地藏菩萨的脖子上。
“虽然不大干净,不过也总比那个强。”
这么说着,年轻人再次背上自己的东西,往村子里去了。
就在那个晚上,正当疲惫不堪的年轻人躺在床上的时候,有人来到了他家里。
“咚咚,咚咚咚,”
“是谁啊,这么大半夜的……。”
平时谁都不会来年轻人家,更不用说这半夜三更的了。拿起灶台边放着的铁锹,年轻人提心吊胆地开了玄关的锁。
开门之后,年轻人吃惊地把手里的铁锹都掉在了地上。
原来眼前,站着一个外表端庄美丽,打扮得体的姑娘,正望着年轻人。
“那么晚了实在是非常抱歉……。其实,我是为了寻找很小的时候就分开的母亲而出门圆形的。可是现在迷了路,天又已经黑了。本来已经准备好了住在野外,不过突然看到这家的灯亮着,因此前来拜访。想必非常给您添麻烦,不过能不能让我借住一夜?”
一开始觉得很吃惊的年轻人听了姑娘的话之后,觉得她很可怜,就爽快地答应了留她住下。
“这个家虽然什么都没有,不过还是请住得舒服些。”
年轻人把自己盖的被子给了姑娘,自己则蹲坐在灶间(注:原文为土間,指没有地板的房间。用途不定。前文中提到过土間里的灶台,因此推断为灶间)的角落里过了一夜。
第二天一早,年轻人似是嗅到了时隔许久的热腾腾的味增汤的香味,醒了过来。
“真是不好意思,随意地用了您的灶台。希望能和您口味……。”
姑娘把刚做好的味增汤递给了年轻人。
“啊呀,我才是不好意思。什么材料都没有,很为难吧?”
年轻人喝了一口味增汤,问姑娘道。
“你说你是出来找母亲的,有什么线索吗?”
听了这问题,姑娘的脸色沉了下来,
“其实,我也只是听说母亲活着而已,具体在哪里就完全没有方向,只能像现在这样到处去寻访……。”
“这样啊。这可够难办的……。”
年轻人抱起手臂考虑了一会儿,对姑娘提议道:
“这样如何?我过几天就会去村子一次,到时候你随我一起去村里打听一下怎么样?女孩子一个人出远门不管怎么说都太危险了,只要你乐意,在这里呆多久都没有问题。”
听闻此言,姑娘垂下的脸庞一下子由阴转晴,连连向年轻人道谢,自己也盛了一碗味增汤喝了起来。
此后,两人之间渐渐互生爱意,自然地结成了夫妇。姑娘还是到处在寻找母亲,可是母亲的线索还是一点都没有,夫妇两人都想不出主意来。正好姑娘来了一年多的时候,年轻人注意到了一些事情。不知为何,明明已经过了春天,但是总有不知哪里来的樱花花瓣飘落到家中。
“好奇怪啊。为什么会这样呢?”
不过这也并不是什么令人为难的事,年轻人只是每次看到花瓣都会觉得奇怪。
自那之后又过了三年。姑娘最近好像放弃寻找母亲了,也不怎么积极地去寻找了,都不怎么和年轻人一起去村子里了。两人依旧过着贫穷而幸福的日子,不忘感谢之心,每一天都两人一起合掌拜地藏菩萨。
某一天,两人像平常一样一起去地藏菩萨那里的时候,看到那里聚集了很多人。
年轻人走上前去,询问了那个仰头看着樱花树,嘴里嘟嘟囔囔一个人嘀咕着什么的男人。
“为什么会有那么多人聚在这里啊?”
男人答道:
“啊,这次我们准备要把这棵樱花树砍倒。这可是个大工程啊。”
年轻人在心中默念:
“这么好的一棵樱花树要去砍倒它……真是可惜啊……。”
姑娘也一样难过,两人都很失望,抱着十分寂寞的心情回到家里。
这天晚上,年轻人正要走上地板时,姑娘突然静静地对他说道:
“请好好听我说。”
“怎么了,一下子那么严肃。”
“其实,我不得不和您道别了。”
实在太过突然,年轻人一下子坐起身子,转向了姑娘。
“什么?为什么这么突然……发生了什么事情?”
姑娘捂着沾满泪水的脸说道:
“我……我一直欺骗了您。可能很难相信,不过,我其实是那棵樱花树的树精。我一直注视着那个每天去佛堂的您,不知何时就被温柔的您吸引,虽然知道是根本不可能实现的愿望,还是控制不住自己的心情,来到了您的身边。最开始……最开始我就明白会变成这样。”
一边说着,姑娘的身体周围就被淡淡的光芒所包围,渐渐消逝而去。
“等等!我现在知道你是樱花树的树精了。可是,为什么一定要离开我啊。不要啊。不管是树精还是什么的,你就是你。留下来吧。”
年轻人不由喊了出来,可是姑娘的身影已经消失,在那里只留下一片樱花花瓣。
“如果可能的话……我想和您永远在一起。但是……这就是命运。和您在一起的时光,是无法取代的我最珍贵的时光。但是从今以后我也会一直注视着您。请千万不要忘记我。在那棵樱花树被砍倒之前,请折下一根枝干,放在家里。请把那个当作是我,好好对待。我会一直……一直在您身边……。”
至此,姑娘的声音完全消失,空留年轻人的哭声回响在空中。
年轻人像姑娘说的那样折下了一根樱花树的枝干,插在了灶间角落的土里。
从此以后,虽然再也没有见到姑娘的身影听到姑娘的声音,但是在年轻人活着的时候,无论是季节几经辗转,岁月几经变更,樱花的枝干从来没有枯萎过,一直盛开着美丽的樱花。